「墾田永年私財法によって初期荘園が生まれた」「荘園は開発によって生まれる」という理解は一面的だ。弥生時代以来続いてきた農地と生業の歴史のなかに古代荘園を位置づけ、多分野の協業によって古代荘園の実像を生き生きと描き出すとともに、中世「荘園制」へと続く道筋をつけ直す。研究蓄積の厚い分野に新風を吹き込む試み。
刊行にあたって
〈古代荘園〉を考える……………吉川真司
古代荘園の歴史……………吉川真司
古代荘園から中世荘園へ……………佐藤泰弘
出土文字史料からみた古代荘園……………武井紀子
備前国鹿田荘を発掘するーー鹿田遺跡と鹿田荘……………山本悦世
古代荘園図の広がり……………上杉和央
《個別テーマをひらく》大伴家持と荘園……………奥村和美
座談会 〈古代荘園〉の実像をさぐる
……………(吉川真司、佐藤泰弘、武井紀子、山本悦世、上杉和央、吉村武彦)
主な古代荘園・古代荘園遺跡