「わたしの家も、この街も、置いていけばゴミになるの?」 「ゴミ」「星」「林檎」……戦争の体験は人が言葉に抱く意味を変えてしまった。ウクライナを代表する詩人が避難者の証言を聴き取り、77の単語と物語で構成した文芸ドキュメント。ロバート キャンベルが現地を訪ねて思索した手記とともに、自ら翻訳して紹介。
旅立ちの前に ロバートキャンベル
戦争語彙集ーーオスタップ・スリヴィンスキー作/ロバートキャンベル訳
序
バス
スモモの木
おばあちゃん
痛み
稲妻
妊娠
バスタブ
熊
結婚式
通り
キノコ
雷
呼出音
「遠い」と「近い」
我が家
シャワー
住宅
生
土
星
歯
身の上話
食べもの
ココア
カレンダー
カナリア
アヒルの子
入場券
部屋
猫
鍵
色彩
お馬さん
恋愛
きれいなもの
チョーク
血
銃弾
ランプ
手紙
愛
マドレーヌ
焼き網
都会
お祈り
空
ニュース
脚
ナンバープレート
洞窟
地下室
プラハ
お別れ
ラジオ
悦び
魚
自由
倉庫
ゴミ
夢
スイーツ
太陽
歌
記事
立て看板
禁句
戦車
動物
テトリス
沈黙
身体
パン生地
ケーキ
遺体
しっぽ
数
林檎
戦争のなかの言葉への旅ーーロバートキャンベル
一 列車から、プラットフォームに降り立つーー行き交う人々と言葉
二 人形劇場の舞台袖で、身をすくめるーー言葉の意味が変わるとき
三 階段教室で、文学をめぐる話を聞くーー断片としての言葉
四 ブチャの団地で、屋上から見えたものーー引き裂かれたランドスケープ
五 シェルターのなか、日々をおくるーーとどまる空間で、結び合う人々
六 あかるい部屋で、壁に立てかけられた絵を見るーー破壊と花作り
環のまわるが如く ロバートキャンベル
「戦争語彙集」原書謝辞