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タイトル |
姉と弟 捏造の闇「袴田事件」の58年(アネトオトウトネツゾウノヤミハカマタジケンノゴジュウハチネン) |
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「死刑囚」のくびきを外し、袴田巖が真の自由の身になる時がきた。「捏造」が疑われる警察の動き、死刑判決を下し、支持した歴代裁判所の判断、弁護活動の瑕疵……。寡黙な元ボクサーを精神の破綻に追い込んだ責任はどこにあるのか。献身的に支え続けた姉ひで子と弟の人生を重ね合わせながら、世紀の冤罪事件の全貌に迫る。
はじめに
第一章 事 件
「凶器は売っていない」
浜名湖畔での日々
プロボクサーを故障で引退
一家四人殺害の現場
事件の渦中へ
第二章 拷 問
「袴田しかない」
過熱する報道
理不尽な逮捕
奇妙な遺失物
過酷な取り調べ、手薄な弁護
意識もうろうで「自白」
不審な郵便物に焼けた紙幣
「拷問王」と四件の冤罪事件
第三章 捏 造
みそタンクから「五点の衣類」
主張を変更する検察
緑のブリーフは兄のもとに
元巡査I氏の証言
第四章 死 刑
「無罪の心証」で極刑に
二対一で死刑、三九年後に明かされた合議内容
母親の死と姉の覚悟
控訴趣意書で捏造指摘
東京高裁、はけないズボンで死刑支持
最後の望みを託す
上席調査官の予断と偏見
第五章 喪 心
独居房の弟思い、酒浸りに
引き離された幼い息子
裏木戸からの脱出は不可能
むしばまれる心
第一次再審請求の終結までに二七年
森山法相「常軌逸し始めた」
第六章 釈 放
ボクシング界が支援活動
熊本元裁判官の告白と苦悩
みそ漬け実験結果を新証拠に
取り調べ録音テープを開示
元同僚「一緒に消火活動していた」
死刑停止、四八年ぶりの釈放
戻った自由な時間、検察は抗告
第七章 帰 郷
名誉チャンピオンベルトを手に
六〇歳からマンション一棟建設
五点の衣類のネガ「発見」
散歩に付き添う「見守り隊」
強引に開始決定を取り消した東京高裁
熊本元裁判官との対面
血痕の色めぐり激しい応酬
再審開始決定に喜びの声
第八章 無 罪
検察、特別抗告を断念
釈放を決めた村山元裁判長と対面
再審初公判、「裁かれるべきは司法制度だ」
弁護団長の西嶋勝彦さん死去
袴田さん八八歳、ひで子さん九一歳
再審法改正を求める超党派議連設立
検察側証人も「血痕に赤み残らない」
「弟を人間らしく過ごさせて」
本人不在の法廷で無罪判決
おわりに
関連年表
参考文献