首吊りや斬首、内臓抉りに四つ裂き……国家は反逆者を残忍極まりない仕方で殺し続けてきた。その恐怖と悲惨さに彩られた歴史は、支配権力が神聖不可侵性を獲得していく物語でもあった。聖性と裏切りをめぐる西洋近代の血塗られた経験を読み解き、現代を生きる私たちが直視すべき国家の本質を描き出す。
序 章 反逆罪という問題
第1章 反逆罪の起源
1 二つの原型
2 中世キリスト教と反逆罪
第2章 中世末期の反逆罪
1 世俗権力の台頭
2 一三五二年の反逆罪法
3 薔薇戦争の時代
第3章 反逆罪の拡張
1 言葉による反逆罪
2 エリザベス一世の宗教政策
3 フランス絶対主義の時代
第4章 反逆罪の転回
1 スチュアート朝時代
2 反逆罪のメタファー
3 コモンウェルスに対する反逆罪
4 一七世紀後半の英仏における新展開
第5章 反逆罪と国民形成
1 グレート・ブリテン王国の成立
2 アメリカ独立戦争
3 反逆罪への批判
4 フランス革命
終 章 反逆罪と現代
1 反逆罪と近代国家
2 反逆罪と近現代日本
あとがき
参考文献