作家の父と弟と暮らす少年・未智留。凡庸な両親に育てられた少女・残花。自らをほんの少しだけ優れた、でも大したことのない存在と断じる二人は、取るに足らぬ同級生を見下ろしながら、卑俗で平凡な住民を横目に見ながら、生活するにはちょっと不便で色々と物足りないこの町で、ほんの少しの諦観とともに退屈で停滞したささやかな日々を過ごしていた。けれど。ある日の未智留の一言をきっかけに、二人の平穏な関係は唐突に終わりを迎える。近親相姦、同性愛、虐待ー。少年が背負う過酷な真実が肌を晒した時、二人を中心とした歪な“家族”の物語が幕を開ける。