「デラシネ」という言葉は「故郷を捨てた人々」として否定的に語られてきた。
だが、社会に根差していた当たり前が日々変わる時代に生きる私たちに必要なのは、
自らを「デラシネ」--根なし草として社会に漂流する存在であるーーと自覚することではないか。
『大河の一滴』『下山の思想』など、大きな時代の変化のなかでどう生きるかを考え続けてきた作家が、
自らの朝鮮半島からの引き揚げ体験を引きながら、絶対的なものが融解する時代を生き抜くヒントを提示する。
五木流生き方の原点にして集大成。
<目次>
第一章 難民の原体験
第二章 「新国家主義」と越境者
第三章 デラシネの思想
第四章 異端の意義
第五章 揺れてこそ人間
第六章 動的な人間観
第七章 直観を信じる
第八章 「病む力」を育む
第九章 時には涙を流す
第十章 愁いの効用