紀伊の霊峰を仰ぐ地で、刀鍛冶の家系に生まれた美禰は、後継者となるべく鋒みね国くにの名を与えられ、男を装うよう育てられた。祖父・月国の打つ美しい刀に惹かれてきた彼女は、自分の境遇に何の不満もなかった。だが、七夕の神事のさなかに獰猛な熊が現れ、美禰は襲われそうになる。間一髪のところで彼女を救ったのは、鬼っ子と嫌われ伊勢に配流されてきた、将軍の弟・松平忠輝だったーー。運命に
抗う2人の物語がはじまる。
目 次
序
第一章 鬼っ子さま
第二章 忍びよる影
第三章 思 慕
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第四章 襲 撃
第五章 私のひと