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タイトル |
平安貴族の夢分析(ヘイアンキゾクノユメブンセキ) |
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平安時代の貴族は夢を神や仏のお告げと信じ、加持祈祷や陰陽道にすがったとされてきた。目に見えない「物」を怖れ、迷信や禁忌に囲まれていたと考えられていたのである。しかし、古記録からは、自らの利益実現のために夢を巧妙に利用した強かな姿が浮かび上がってくる。行成の『権記』では昇進要求に。道長の『御堂関白記』では政務や儀式をサボる口実として。彼らは夢をどのように捉えていたのか。知られざる精神性に迫る。
夢とは何かーはじめに
一 平安朝文学に見える夢
1 和歌文学と夢
2 歌物語と夢
3 作り物語と夢
・『源氏物語』の夢
4 「歴史物語」と夢
・『栄花物語』の夢
・『大鏡』の夢
5 日記文学と夢
・『蜻蛉日記』の夢
・『更級日記』の夢
6 説話文学と夢
・『日本霊異記』の夢
・『今昔物語集』の夢
二 平安貴族の古記録と夢
1 古記録の夢
2 藤原忠平と『貞信公記』
3 藤原師輔と『九暦』
4 重明親王と『吏部王記』
三 摂関期貴族の古記録と夢
1 藤原行成と『権記』
(1)政務と人事
(2)宗教的な夢
(3)天皇と王権
(4)家族や個人
(5)他の古記録に見える行成の夢
(6)能吏の夢
2 藤原道長と『御堂関白記』
(1)口実としての夢
(2)その他の夢
(3)他の古記録に見える道長の夢
(4)サボりの口実の夢
3 藤原実資と『小右記』
(1)宗教的な夢
(2)人事の夢
(3)政務と儀式
(4)天皇と王権
(5)家族と個人
(6)秘事伝承の夢
四 後期摂関期貴族の古記録と夢
1 源経頼と『左経記』
(1)関寺の仏牛をめぐって
(2)その他の夢
(3)実務官人の夢
2 藤原資房と『春記』
(1)王権の夢
(2)人事の夢
(3)宗教的な夢
(4)天皇側近の夢
平安貴族は何を夢みたのかーおわりに