山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、山の神の嫁入りや神隠しなどの怪奇談、天狗や山男にまつわる人々の宗教生活。山間に埋もれた人生の記録や伝承の起源などを、実地をもって精細に例証し、透徹した視点でつづる。名作『遠野物語』と対をなす代表作。
解説・山折哲雄
自序
一 山に埋もれたる人生ある事
二 人間必ずしも住家を持たざる事
三 凡人遁世の事
四 稀に再び山より還る者ある事
五 女人の山に入る者多き事
六 山の神に嫁入りすという事
七 町にも不思議なる迷子ありし事
八 今も少年の往々にして神に隠さるる事
九 神隠しに遭いやすき気質あるかと思う事
一〇 小児の言によって幽界を知らんとせし事
一一 仙人出現の理由を研究すべき事
一二 大和尚に化けて廻国せし狸の事
一三 神隠しに奇異なる約束ありし事
一四 ことに若き女のしばしば隠されし事
一五 生きているかと思う場合多かりし事
一六 深山の婚姻の事
一七 鬼の子の里にも産まれし事
一八 学問はいまだこの不思議を解釈し得ざる事
一九 山の神を女性とする例多き事
二〇 深山に小児を見るという事
二一 山姥を妖怪なりとも考え難き事
二二 山女多くは人を懐かしがる事
二三 山男にも人に近づかんとする者ある事
二四 骨折り仕事に山男を傭いし事
二五 米の飯をむやみに欲しがる事
二六 山男が町に出で来たりし事
二七 山人の通路の事
二八 三尺ばかりの大草履の事
二九 巨人の足跡を崇敬せし事
三〇 これは日本文化史の未解決の問題なる事
注釈1
山人考
注釈2
解説 山折哲雄
索引