カンナはいつも「燃え」、「一つ」だけ枝に残った柿はきまって「夕陽」に照らされ、妻は「若く」、母は「小さい」--だれでも初めて俳句に手を出すとまず口をついて出てくるのが、こうしたきまり文句。初心者はこの紋切型表現と手を切らなければ、「四合目」から上に登ることはできないと阿部しょう人は説く。初心俳句の最も根深い欠陥をこれほど具体的に解明した本は他に例を見ず入門書としてこれは独創というに値する。(解説より)
序の章
1.すべての初心者の同じ過誤
2.過誤の分類ーー表現技術の整理
3.俳句の位置一一俳句らしさ
1 俳句の両側
1.川柳との違い
4.主観的な俳句・傍観的な川柳
5.洒落・もじり
6.滑稽・皮肉
7.世故・人情
8.世態・風俗
2.格言・標語・諺などとの違い
9.言葉の使い方の二大領域ーー実用的と文学的
10.説明と表現と
11.具象性と普遍性・抽象性と普遍性
12.非論理の世界の俳句
13.理屈の露出俳句
14.理屈の支柱俳句
15.説明俳句
16.記述俳句
17.報告・通告俳句
2 俳句の道
18.俳句らしさ
3.凝縮性
19.凝縮性
20.現在
21.凝縮形式ーー結晶形
22.言葉の掛け算ーー俳句は言葉の和に非ず
23.言葉の積をはずれた俳句
24.省略の極限
25.弛緩俳句
26.未整理の俳句
27.五七五の形の崩れ
28.3段切れ俳句
29.や・かな俳句
30.2段切れ俳句
31.凝縮力
32.伝統の遺産
33.季重なり
34.事実誤認の過失
35.語法の過失ーー活用語について
36.語法の過失ーー文脈について
37.言い損ない俳句
38.ルビ俳句および読み方不安の俳句
4.新しさと古さ
39.古さとは
40.真の古臭さ
41.題材の陳腐俳句
42.言い回しの陳腐俳句
43.見方・考え方の陳腐俳句
5.深さと浅さ
44.深さとは
45.平浅俳句
46.感