私が本書の訳に従事したのは30歳代から40歳代の初めにかけてである。80歳をこえた今日までの40年間を通じて、エックハルトは私を鼓舞激励している。たとえば、「神は私よりも私に近く在(いま)す」。人間は幸福を求め、美を求め、宝を求めて遠路を行く。しかし、比類を絶したものはむしろ近くに、あまりにも近くにある。エックハルトの言葉は年とともにますます輝き、新鮮さを加える。(訳者“「学術文庫」のためのあとがき”より抜粋)
●第1部 論述
1 教導説話
2 神の慰めの書
3 高貴なる人間について
4 離在について
5 魂の高貴性について
●第2部 説教
1 マタイ伝第21章第12節についての説教
2 マタイ伝第25章第23節についての説教
3 ルカ伝第7章第14節についての説教
4 ルカ伝第10章第38節についての説教
5 同上
6 ルカ伝第21章第31節についての説教
7 ヨハネ第1書第4章第9節についての説教
8 イザヤ書第49章第13節およびヨハネ伝第8章第12節についての説教
●第3部 伝説
マイスター・エックハルトの饗宴
マイスター・エックハルトの娘
マイスター・エックハルトの時代と生涯