「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」
我が家の鬼畜は、母でしたーー。保険金目当てに次々と家族を手にかけていく母親。 巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、唯一生き残った末娘の口から明らかに。母の異常犯罪とは!
島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。
島田荘司が見いだした、元・弁護師による衝撃のデビュー作。
『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原聡シリーズの第一作。
デビュー後『衣更月家の一族』『螺旋の底」と毎年本格ミステリ大賞候補作となっているミステリー界の新星となった元弁護士。この著者だからこそ描けた、リアルかつ恐ろしい人間の欲望。そして驚愕の真相!
「舌を巻くしたたかな遣り口。
衝撃の語りで隠蔽する騙しの精密機械。
もしもそう言って許されるならだが、優れた法律家とその作業世界こそは、下方で頑張る物語創作世界への、最高にして最良のファームなのかもしれないという思いを抱く。
法曹界や医学界、あるいは学問の世界を勤勉に支え終えた退職者たちの黙々とした余生の筆、その濃密さこそが、今後はジャンルを支える時代に、社会は静かに向かっている。
深木章子氏の登場は、そういうことをこちらに感じさせ、期待させてくれる、自分にとってはひとつの事件であった」
島田荘司(解説「名人職人の華麗な柱時計」より)
第一章
木島病院院長 木島敦司の話
主婦 相澤喜代子の話
潮南警察署刑事課 清水徹之の話
第二章
児童公園
依頼人 北川由紀名の話
児童公園
第三章
元北川医院事務員 瀬戸山妙子の話
大学院生 星拓真の話
保険外交員 田中寿々子の話
会社員 多田野吉弘の話
第四章
児童公園
鬼畜の家