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天皇の歴史3 天皇と摂政・関白(テンノウノレキシ3 テンノウトセッショウカンパク) |
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9世紀後半、幼帝清和天皇の外祖父・藤原良房が摂政になり、息子・基経が関白の地位を得て、その後200年におよぶ摂関政治の時代が始まった。醍醐・村上天皇の「延喜・天暦の治」と将門・純友の乱、そして道長の栄華。藤原氏が王権をめぐる姻戚関係を支配するなかで、天皇のみがなしえたこととは何か。「摂関家による政治の私物化」という従来の捉え方を超えて、天皇が「生身の権力者」から「制度」へと変貌していく時代を描く。
講談社創業100周年記念企画として刊行され、高い評価を得た全集がついに学術文庫化。第3巻は、9世紀半ばの文徳天皇から、11世紀半ばの後冷泉天皇まで、16人の天皇の時代を取り上げる。「摂関政治の時代」として知られる200年間である。
一般に「摂関政治の時代」というと、天皇を抑えつけ、勝手気ままな政治を行っていた摂政・関白や、寝殿造りの邸宅で日々、宴にふけっていた貴族たちをイメージするだろう。しかし、こうした「政治を私物化する摂政・関白」という見方は、近代以降の歴史観である。本書では、必ずしも対立するものではなかった「天皇」と「摂関」を、王権を構成する総体としてとらえなおす。
幼帝清和の外祖父、藤原良房から摂関政治は始まった。失脚した菅原道真の怨霊問題、将門・純友の乱、醍醐・村上天皇の「延喜・天暦の治」、そして藤原道長の栄華。王権をめぐる姻戚関係を藤原氏が支配するなかで、天皇のみがなしえたこととは、いったい何か。皇統が錯綜し、政争の続く平安京の内裏を舞台に、天皇が「生身の権力者」から「制度」へと変貌していく過程を描き出す。
〔原本:『天皇の歴史03巻 天皇と摂政・関白』講談社 2011年刊〕
学術文庫版のまえがき
序 章 天皇の変貌と摂関政治
第一章 摂政・関白の成立と天皇
1 最初の摂政・藤原良房
2 関白基経と阿衡事件
3 光孝皇統の成立と皇太子
第二章 「延喜・天暦の治」の時代
1 宇多天皇と「寛平の治」
2 道真の怨霊・将門の乱・内裏炎上
3 「延喜・天暦の治」の評価と実態
第三章 摂関政治の成熟
1 皇統並立と外戚
2 藤原道長と三人の天皇
3 摂関政治の黄昏
第四章 王権をめぐる人々
1 太上天皇
2 皇后と母后
3 蔵人所・殿上人・検非違使
第五章 儀式・政務と天皇
1 即位儀礼と「神器」
2 摂関の政務と天皇の政務
3 饗宴と君臣関係
第六章 仏と神と天皇
1 国家の仏事・天皇の仏事
2 祭祀と行幸
3 穢れと怨霊
第七章 摂関期の財政と天皇
1 受領のもたらす富
2 蔵人所と天皇の食事・料物
3 天皇家の財産
終 章 天皇像の変容
主要人物略伝
参考文献
年 表
歴代天皇表
天皇系図
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