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タイトル |
天皇の歴史4 天皇と中世の武家(テンノウノレキシ4 テンノウトチュウセイノブケ) |
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12世紀末、日本史上初めての本格的な内戦、治承・寿永の内乱の結果、新しい武士の政治組織、鎌倉幕府が誕生。政治体制は、それまでの朝廷の単独支配から、明治維新まで続く朝廷・幕府体制へと大きく変化する。父子一系の皇統をめぐる朝廷の動揺と、朝廷再建を図る源頼朝、後醍醐天皇、足利義満の構想など、朝廷・幕府体制の展開を探りながら、古典を鑑として秩序を求めた人々の営為を明らかにする。
講談社創業100周年企画として刊行され、高い評価をえたシリーズの学術文庫版、第4巻。平安時代末期の源平の争乱から、鎌倉時代を経て室町時代後半に至る中世日本における天皇と武家の役割を究明する。中世に重視されたのは、父子一系でつながる一筋の皇統=正統(しょうとう)であり、多くの天皇が自らの皇統を維持しようと院政を目指した。源頼朝も正統の天皇を護るために武家を創り、鎌倉幕府が後鳥羽上皇と戦ったのも朝廷再建のためだった。室町時代、事実上の院政を執った足利義満など、中世の天皇と武家の実像を明らかにする。
〔原本:『天皇の歴史04巻 天皇と中世の武家』講談社 2011年刊〕
第一部 鎌倉幕府と天皇 河内祥輔
学術文庫版へのまえがき
はじめに
第一章 平安時代の朝廷とその動揺
1 再建される朝廷
2 院政と摂関
3 動揺のはじまり
4 平治の乱から後白河院政へ
第二章 朝廷・幕府体制の成立
1 治承三年の政変
2 寺院大衆の「アジール」運動
3 頼朝勢力の出現
4 頼朝勢力の勝利
5 幕府への転生
第三章 後鳥羽院政と承久の乱
1 後鳥羽天皇の治世
2 承久の乱の勃発
3 幕府の勝利
4 幕府の朝廷再建運動
第四章 鎌倉時代中・後期の朝廷・幕府体制
1 承久の乱後の朝廷
2 幕府の対朝廷政策
3 後嵯峨天皇の時代
4 皇統分裂問題と幕府の倒壊
第二部 「古典」としての天皇 新田一郎
第一章 朝廷の再建と南北朝の争い
1 朝廷の再建と「室町幕府」の成立
2 古典の再発見
3 幻の内裏空間
4 南朝代々
第二章 足利義満の宮廷
1 公家としての義満
2 武家の位置づけ
3 南朝の接収
4 日本国王と天皇
第三章 「天皇家」の成立
1 足利義満の遺産
2 後南朝の影
3 伏見宮家の成立
4 権威の構造
第四章 古典を鑑とした世界
1 家業の変質
2 公事体制の解体
3 公家の在国
4 古典の流布と卑俗化
終章 近世国家への展望
1 繰り返される再生
2 カミの末裔
学術文庫版へのあとがき
参考文献
年 表
天皇系図
索 引