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タイトル |
改訂版 神話と歴史叙述(カイテイバン シンワトレキシジョジュツ) |
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書きのこされた「歴史」は、現実に営まれた事実としての「歴史」とイコールではない。神から人へと直線的な時間で編まれた日本書紀と、神がみと人間の時間が併存する古事記。天皇の婚姻系譜における父系と母系。クーデターの正統性と敗者への視点……。過ぎ去った時間を手中におさめたい意志が歴史を編集する。神話と歴史をともに表現行為ととらえ、古代の世界観を検討する。
ベストセラー『口語訳 古事記』を生み出すことになる、通説への疑義と考察に満ちた一冊を大幅にアップデートして文庫化!
第一部 歴史叙述の方法
第一章 『日本書』から日本書紀へ:史書の構想と挫折
第二章 日本書紀の歴史叙述
第三章 古事記の歴史叙述
第四章 母系残照:古事記・日本書紀の婚姻系譜
第五章 天皇の役割:夢見と呪性
第二部 歴史としての起源神話
第一章 起源としての笑い
第二章 イケニヘ譚の発生:農耕の起源
第三章 青人草:人間の誕生と死の起源
第四章 交わる人と神:境界としての〈坂〉
第五章 起源としての生産・労働・交易