その〈空洞〉から、すべては始まった。
天下の奇書か、物語の起源か?日本最古の大長篇「うつほ物語」の謎を、光源氏が解きあかす。
「平家物語」を全訳した著者が、一千年の日本文学史を超絶マッシュアップ。歴史を現代につなぐ驚異の新作!
京の都の政治抗争を逃れ、みずから須磨の海辺へと流寓した光源氏。侘び住まいに携えたのは父帝ゆかりの七絃の琴と、
七絃の琴の一族を描く大長篇「うつほ物語」の第一巻だった。満月の宵、徒然なるままに「うつほ」の最終場面を墨絵に描いた光源氏は、その巨大な物語の迷宮を遡り、九枚の物語絵によって読み解いていくーー。日本物語文学史の豊饒なる起源を、現代に再生させる冒険の書。