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タイトル |
利己的な遺伝子 利他的な脳(リコテキナイデンシ リタテキナノウ) |
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「利他」を科学的に論じた名著が、福岡伸一 訳で登場!
コロナ禍を経験し、他者への配慮が求められる社会になったことで、「利他」への関心が高まった。自己の利益よりも他者の利益を優先する「利他」は、「利己的遺伝子論」からすると、生命のあり方と矛盾するように見える。
しかし本書は、脳神経科学の知見をもとに、人間にはもともと利他性が備わっていると主張する。「利他」が発揮されるメカニズムを科学的に解明し、その仕組みを知ることで、利他的行動がスムーズに行えるよう手助けしてくれる。
本書は、脳神経科学の第一人者が書いた「利他的な脳」を知るための科学書でありながら、対立する人間関係の改善や、ビジネスでの交渉など、困難な状況を乗り越えるためのヒントを与えるものであり、よりよく生きるための指南書でもある。
「本書を読むと、利他性が、損得勘定ではなく、脳の神経回路の基礎メカニズムとして備わっているものであることがわかる。つまり、利他性には、自発的・主体的な生物学的基盤がある。このような視点を持つと、対立・離反するような他者、わかり合えないと思われる他者であっても、同じ利他的な脳を共有する、同じホモ・サピエンスであることを議論の出発点にできるはずだ。このような共通理解に立って、私たちの社会が、分断から共生へと舵を切っていくことへの希望が、本書のメタテーマとして託されている」--福岡伸一 (「日本版序文」より)
〈目次〉
日本版序文
はじめに
第一部 利他的脳の科学的根拠
第一章 利他主義の進化論的ルーツ
第二章 利他的脳のメカニズム
第三章 利他的脳の科学的解明
第四章 利他的行動を促す神経とホルモン
第五章 利他的脳理論と普遍的倫理のつながり
第二部 利他的脳を向上させる
第六章 利他的脳理論によって何が変わるか
第七章 なぜ利他的脳が重要なのか?
第八章 利他的脳理論を社会に活かす
第九章 利他的行動を促進するには
〈著者プロフィール〉
ドナルド・W・パフ
脳神経科学者。ハーバード大学を卒業後、マサチューセッツ工科大学にて博士号を取得。長年、人間の脳が実際の行動をどのように制御するのかを研究し続けている。ニューヨークのロックフェラー大学にて脳機能に関する研究室を主宰。アメリカ芸術科学アカデミーフェローおよび全米科学アカデミー会員。これまでに手がけた著書も多数。
〈訳者 プロフィール〉
福岡伸一
生物学者・作家。京都大学卒業および同大学院博士課程修了。ハーバード大学研修員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学教授・米国ロックフェラー大学客員教授。主な著書に『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』『生命海流 GALAPAGOS』、共著に『ポストコロナの生命哲学』(伊藤亜紗、藤原辰史)『音楽と生命』(坂本龍一)がある。