そもそも人材採用の面接で分かることとは何か。面接が正統性を持つ評価につながる方法とは何か。1980年代までを支配した「面接無意味論」を脱し、20世紀後半から今世紀に至るまでに、面接が意味ある方法へと進化した背景には何があったのか。構造化面接法、面接者配置法、知的能力やパーソナリティを含む非認知的特性の構成概念研究などの面接理論の現代思想史をレビューしつつ、日本における採用・就職慣行とそれが変化しつつある現在において「会って話す」意味とその手法を考える。
序章 変化する日本の採用・就活ーーその本質とは
新規学卒者の採用・就活環境/変化の本質/日本企業の偏った現代化/世界的研究動向と日本企業の課題/理論的布置
第1部 面接研究の見取り図
第1章 面接の構造ーー選抜研究の視角
選抜の全体像/選抜手法の構造/選抜構造の前提条件/選抜構造の周辺
第2章 面接の正統性ーー意味ある面接とは何か
面接の正統性/適性検査の正統性/エントリーシートの正統性/日本的採用慣行と欧米の面接現代史
第2部 面接の現代史
第3章 20世紀史ーー就活面接無意味論の支配と反旗
1980年代:採用面接無意味論の支配と歴史的転回/1990年代:面接の妥当性を生む要因探求
第4章 21世紀史ーー構造化面接からパーソナリティなどの構成概念の時代へ
2000年代:選抜基準の内容特定/2010年代以降:動画・オンライン面接の影響検証
第3部 面接で分かること
第5章 採用面接による人事評価予測ーー入社前後4年間の追跡調査
面接と行動評価の基礎理解/データと手法/結果と考察/総合考察
第6章 採用面接の信頼性と構成概念ーー入社前後4年間の追跡調査(2)
面接の信頼性の基礎理解/データと手法/結果と考察/総合考察
終章 面接設計論の展望ーーポスト新卒一括採用時代に向けて
面接現代史を今に活かす/現状を数値で正しく把握する/会って話す面接を作り直す/選抜過程全体で選抜妥当性を獲得する