佐藤愛子といえば、やはり『血脈』!
それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。
大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。
圧倒的迫力と感動の大河長篇。
圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。
【旧版からの変更点】
(1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。
(2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。
(中)のあらすじ
昭和9年、四男・久が女と心中を図り、死んだ。サトウハチローとなった長男・八郎は、いまや売れっ子詩人で、あちこちに女を囲っていた。次男・節と三男・弥は相変わらず、親に金の無心を続けている。戦争の足音とともに紅緑に忍び寄る老いの影。敗戦を迎え、節を広島で、弥をフィリピンで失った。ハチローは「リンゴの唄」をはじめとして、次々とヒットを飛ばしていた。息子たちの放蕩から解き放たれた時、紅緑の生命は輝きを失っていく。