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タイトル |
脳神経外科 Vol.49 No.5(ノウシンケイゲカ) |
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頭部外傷診療は,脳神経外科医がイニシアチブを取り専門診療を行う本質は以前から変わっていませんが,近年では病院前救護,救急部門,手術部門,集中治療部門,リハビリテーション部門など診療局面が細分化し,さまざまな局面での診療内容が高度化したことにより,各職種のプロフェッショナルが協働することによって成り立っています.職種や経験の異なるスタッフによる協働作業を円滑に進めるためのシステムが「標準化」であり,標準化の指針となるのが診療ガイドラインです.2019年に現行第4版の『頭部外傷治療・管理のガイドライン』が発刊され,頭部外傷診療の細分化・高度化に伴い大幅に増補され充実した内容となりました.本特集は,読者の皆さまがガイドラインの内容を実臨床で生かせるよう,実際の診療の流れに沿って構成されています(第1章:初期診療と急性期評価・診断,第2章:外科的治療と神経集中治療・管理,第3章:さまざまな頭部外傷の病態,第4章:急性期からつながる慢性期診療と社会復帰).各項目は,ガイドラインの作成に携わられた先生方のほか,実臨床で活躍されている経験豊富な先生方にも執筆を依頼し,シェーマや図表を多用し,読みやすく理解しやすいように配慮されています.また,ガイドラインのようなエッセンスを読んだだけではなかなか触れられることのない,各病態の医学的背景や病態生理についても解説していただき,理解を深めるための読み物としても充実した内容となっています.本特集を頭部外傷の座学における座右の書とし,普段使いのガイドラインと相補的にご活用いただければ幸いです.