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タイトル |
部下のポテンシャルに疑問を持ったら読む本(ブカノポテンシャルニギモンヲモッタラヨムホン) |
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「少し問題あり」の人材が、仕事ができる!
は本当だった。
6.6万人超のデータが浮き彫りにした
高業績人財たちに秘められたパワーの源泉。
多くの職場に、協調を拒み、ケンカ腰で、揉め事を起こす人がいる。自分勝手な都合を優先し仕事を途中で放棄し後始末に困る人。自分が特別扱いされないと不機嫌になる人。嘘で問題を隠蔽する人。出世のために平気で周りを蹴落とす人。部下の気持ちを考えず限界まで追い込む上司……。経営学や心理学においては、こうした社会で望ましいとされるものとは逆方向の行動を「反社会的行動」という。
最近の研究により、こうした反社会的行動は「ダーク・トライアド」という性格特性によってかなり説明されることがわかってきた。具体的には、嘘をついてでも自分の勢力・権力を拡大しようとすること(マキャベリアニズム)、自己愛が強く自分は他人とは違う特別な存在だと信じること(自己愛傾向)、感情的反応が少なく自分の欲求充足にしか興味がない衝動的なこと(サイコパシー傾向)--の3つの性格特性を指す 。そして従来、主に社会とは相いれない(反社会的な)人の代表例として扱われてきたその存在について、近年の先端的研究は、そう事は単純ではないという人間の深みを解き明かし始めている。
これらは何を意味するのか? 第二部の著者が開発した 、人と組織の「適合性」を数値化するアセスメントツール「MARCO POLO」による40万人超のプロファイリングを通じて浮かび上がった仮説が、「高業績者には、一見『問題』と言われるような側面を強く持つ者が多い」というもの。つまり、ダーク・トライアドを深掘りしていくことで、高業績人財の秘密の一端を浮き彫りにでき、これからの人事施策に活用すれば、より効果的な人材マッチングが可能になるということだ。
本書は、こうした最新の成果をもとに、高業績人財と反社会性の関係性の理解に基づく人材育成・人事施策への活用の可能性を説くもの。誰もが持ちうる反社会性と向社会性の両面のうち、向社会的に働くものを「ダーク・パワー」と定義し、その根幹をなし人間に存在する強いエネルギーを持つ力であるダーク・トライアドについて、いかにすれば向社会性への行動変換をもたらし、強力なプラスのエネルギーとして発現する高業績人財、次世代リーダーに変えていくことができるか、科学的人材育成の基礎概念と実践手法を、企業事例も紹介しながら解説する。