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タイトル |
「金利のある世界」の歩き方(キンリノアルセカイノアルキカタ) |
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●17年ぶりの利上げ。企業、家計、政府はどうする?
24年3月、日銀がマイナス金利の解除に動いた。高い賃上げと物価上昇が実現していることを受けての決定だが、我々は長い間「価格が一定(または下がる)」世界に生きてきた。実質金利の復活が近いと予想される中、我々は何を念頭に入れて動くべきなのか? 予想される状況をいち早く頭に入れ、この先の一歩を考えるヒントにするための1冊。
企業の設備投資は、一昔に比べると、金利の影響は軽微となる。大企業は、現金をため込んでいる企業が増えており、借り入れに迫られる企業は少ない。また無形資産の保有が増えていることも影響が少ない一因。一方で、大企業は堅調なのに比べると、中小企業は人件費の割合が多く、賃上げが続くと負担が増えることから、大企業と中小企業の差は大きくなることが予想される。
家計でも、年齢と保有資産の差で2極化が予想される。特に、ローンの額が多い若年層にそのしわ寄せが来る。住宅費、教育費などの負担増は、少子化のさらなる加速を招きかねない。金利のある世界では、金融の知識の有無でも差がつく可能性があり、金融教育の議論も活発になるだろう。
財政(政府)面では、金利上昇は間違いなく財政悪化要因となり、財政再建の取り組みをさらに加速すべき事態になる。
金融政策の効果が発揮されるには一定のタイムラグがある。その間に構造改革を進め、持続可能な経済体制を作る必要がある。
第1章 異次元緩和を振り返る
第2章 マイナス金利の解除と残された課題
第3章 金融政策の効果はいつ顕在化するのか
第4章 金利のある世界1 企業ではどのような影響があるか
第5章 金利のある世界2 格差社会化する家計部門
第6章 金利のある世界3 財政再建を迫られる政府部門
第7章 我々は何をすべきか
終章 金利は時間の価格 構造改革のスピードアップ