解析力学をはじめて学ぶ際にも、発展的な内容を学ぶ際にもおすすめの一冊
解析力学の考え方を用いると、ニュートンの運動方程式だけでなく電磁気学におけるガウスの法則、アンペールの法則などをも統一的な視点から「導出」することができる。その際の指導原理となるのが「対称性」であり、その重要性について強調したことが本書の特色の1つである。
たとえば、光の速さが一定という実験事実と整合するようにガリレイ対称性をローレンツ対称性へと変更することで、ニュートン力学を導くのと同じ要領で特殊相対性理論が自然に導かれることをみる。また、連続対称性がネーター保存量を導き、逆にその保存量が対称性の生成子になるといった関係について学べるようになっている。特に、ハミルトニアンが時間発展の生成子、運動量が空間並進の生成子になることや、電磁場中の荷電粒子のハミルトニアンの具体的な形を理解しておくことは、量子力学を学ぶ際のよい足がかりとなるだろう。
類書にはあまり見られない内容として、スピンの取り扱い、自発的対称性の破れについての議論、ラグランジアンの存在についてのヘルムホルツ条件の導出や、中心力下の運動についてのベルトラン定理の証明なども盛り込んだ。