本書は、カトリックのシスターであり日本文学研究者でもある鈴木秀子さんと、礼拝行(五体投地)を実践すると共に「坐禅断食」を提唱・指導する禅僧野口法蔵さんによる共著本です。本書のテーマは、宗教・宗派の違いを超えた〈祈り〉のありようを明らかにしようとするものです。宗教遍歴の後、厳しい修行(礼拝行)を実践していた野口さんは、鈴木さんとの出会いにより、「修行とは他者の幸せを願うこと=祈ること」と気づいたと言われます。「他者の幸せを願う」という意味での「祈り」について、鈴木さんと野口さんの論述から浮き彫りにします。対談本でなく、各節を分担執筆しているため、お二人それぞれの論旨をゆっくり追いながら読むことができる一冊です。
はじめに 野口法蔵
第1章 生きること、死ぬこと、祈ること
第2章 祈りとは何か
第3章 キリスト者の祈りと、僧侶の祈り
第4章 死に臨んでできること
第5章 自分との対話
第6章 自分を超える存在
第7章 これでいいのだ
附 章 坐禅と断食
おわりに 鈴木秀子