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タイトル |
脳波処理とブレイン・コンピュータ・インタフェース(ノウハショリトブレインコンピュータインタフェース) |
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【書籍の特徴】
本書は,第一線で脳波BCI(ブレイン・コンピュータ・インタフェース)研究に携わっている筆者らが,BCIのパラダイムや信号処理について解説したものです。対象とする読者は,電気電子工学や情報工学を初めとする理工学を学ぶ学部生や大学院生,また脳神経科学の工学応用に興味のある研究者・技術者や脳科学の産業応用に興味のある方々を想定しています。基本的に高等学校から大学初年度の数学に関する知識があれば読み進めていけるようになっています。
【本書の構成】
1章:「脳波とブレイン・コンピュータ・インタフェース」では,BCIの定義と研究の歴史を紹介し,BCIにおける神経科学的なバックグランドについて簡単に述べます。さらに,BCIの構成について触れ,信号処理がどのような役割を担っているのかを述べます。また,これからBCI研究を始める方に向けて,一般的な開発環境を紹介します。
2章:「BCIのための信号処理・解析・パターン認識」では,BCIの構築に必要な信号処理,信号解析の手法を紹介します。それらの理解に必要な数学的な準備を冒頭に含めました。
3章:「脳波計測」では,頭皮脳波の発生原理,脳波計測に必要な装置,計測の手順,計測の際の注意事項などを紹介します。
4章:「前処理と特徴抽出」では,記録した脳波に対して何らかの処理を行い,雑音をできるだけ除去し,意味のあるパターンを抽出する方法を紹介します。
5章:「評価方法」では,開発したBCIの性能を評価する方法を解説します。また,ベンチマーク用データセットをいくつか紹介します。
6章:「事象関連応答によるBCI」では,イベントの発生頻度の違いによって,振幅が異なるERP(事象関連電位)を誘発することでBCIを構築する方法を紹介します。
7章:「視覚応答によるBCI」では,VEP(視覚誘発電位)研究の歴史や実験デザイン,信号解析手法について解説します。
8章:「運動関連応答によるBCI」では,微分幾何学(リーマン多様体)を信号処理に応用した手法をかなり詳しく説明しているのが特徴となっています。
1章,3章,4章,5章は,すべてのBCI開発における共通事項であるため,6章から8章を読む前に一読することをお勧めします。2章には,これ以降の章で必要となる信号処理の詳細をまとめてありますので,必要なときに参照してください。6章,7章,8章は,それぞれ独立した形で記述されていますので,自分の開発対象や興味に合わせて読むことが可能です。