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タイトル |
テンソルデータ解析の基礎と応用(テンソルデータカイセキノキソトオウヨウ) |
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【書籍の特徴】
本書はテンソル分解の入門書として書きました。テンソルの基礎,線形代数の基礎,主成分分析,テンソル分解の基礎,テンソル分解の応用までを滑らかにつなぐことを心がけました。テンソルネットワークでよく用いられるダイアグラム表記も積極的に取り入れて解説しています。
【本書の構成】
1章:「情報のテンソル表現」では,ベクトル,行列,テンソルの簡単な導入と応用事例について広く浅くまとめました。情報が意味するものは,音声,脳波,画像,自然言語など多種多様です。これらのデータはさまざまな形式で保存されていますが,テンソルを使って表現すると,それに対してさまざまなテンソルデータ解析の手法を適用できるようになります。
2章:「テンソルの変形と計算」では,テンソルどうしの積(縮約)を理解することを最終目標に,テンソルの基本的な操作(ベクトル展開,行列展開,折り畳み,アダマール積,クロネッカー積など)を丁寧に紹介していきます。
3章:「線形代数と主成分分析」では,前半は線形代数の簡潔なハイライトになっています。内積,外積,ノルム,列空間,直交化,射影,固有値分解,特異値分解,行列ランクなどの内容を一通り学び直すことができます。エッカート・ヤングの定理の証明,べき乗法や縮退処理を用いた特異値分解のアルゴリズムについて紹介している点が特色です。後半ではこれらの応用として主成分分析の紹介と,それをコンピュータを用いてどのように行うのか(アルゴリズム)について説明していきます。
4章:「テンソル分解」では,CP分解,Tucker分解,TT分解を紹介し,それに基づいてテンソルのCPランク,Tuckerランク,TTランクについて説明します。また,各テンソル分解によってテンソルの低ランク近似を得るための基本アルゴリズムについて解説します。他のテンソル分解モデルについては代表的なものを紹介する程度にしています。
5章:「テンソルデータ解析」では,テンソル分解を実際のデータ分析課題へ適用するための方法論について紹介しました。観測モデル,誤差関数,制約付きテンソル分解などの組合せで多様な問題設定が考えられることがおわかりいただけると思います。
【著者からのメッセージ】
本書を理解するうえで必要な数学的知識は線形代数+αのみです。線形代数への愛着と理解が深まるほど,テンソル分解への理解も深まるといえます。また,本書ではMATLABプログラムの例をたくさん載せています。自分でプログラムが書ける,そしてきちんと動く,というのは少なくとも処理の流れは具体的に,かつ正確に理解できていることの証だと思います。手を動かしながら読んでいただき,具体的な理解につなげていだだければと思います。