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タイトル |
進撃の地場産業 世界的家具ブランドを確立した小さなメーカーの生き残り戦略(シンゲキノジバサンギョウ セカイテキカグブランドヲカクリツシタチイサナメーカーノイキノコリセンリャク) |
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九州発、世界的ブランドへーー。
佐賀県の小さな家具メーカーに学ぶ、
地場産業復権への道筋とは?
日本の地場産業は、人口減少や消費者ニーズの変化、さらには後継者難といった多くの問題に直面し、衰退の一途をたどっています。
伝統的な技術や地域に根ざした産業は、かつて地域経済を支えていましたが、今では廃業や倒産の危機に瀕する企業も少なくありません。このままでは地場産業に携わる地域密着型の企業は減少し続け、脈々と受け継がれてきた日本の職人の技巧が失われてしまう恐れがあります。著者は、日本らしい丁寧で誠実な仕事を未来へ受け継ぐためにも、さらには地域全体の持続的な発展を促すためにも、地場産業関連企業には意識改革と時代に合わせた地場産品のアップデートが必要であると言います。
古くから家具づくりの産地として栄えてきた、佐賀県諸富町の家具メーカーの跡取りとして生まれた著者は、高校卒業とともに父のもとで職人の技術を学びながら、まもなく経営にも関わるようになりました。しかし、入社当初より従来の下請け主体・大量生産型のビジネスモデルに限界を感じていた著者は、27歳で経営を引き継ぐと組織体制や経営方針の大胆な改革に着手しました。
下請けからの脱却を図るための販路開拓、海外からデザイナーを招聘してのデザイン力強化など、試行錯誤を繰り返しながらの改革は、時には古参社員からの猛反発を受けるなど決して平坦な道のりではなかったと言います。しかし、そうした苦労を乗り越え、20年の歳月をかけ下請けの家具メーカーをデザイン設計から製作までを一貫して担う「インテリアのトータルメーカー」へと転身させたのです。
本書では、地場産業が時代の変化に柔軟に対応し、持続可能な事業へとシフトしていくための道筋を示しています。先人たちが築き上げてきた伝統や歴史は大切にしながらも、新たな価値を創造するための組織改革やマーケティング戦略によって未来を切り拓いてきた著者の取り組みは、地域性や業種を問わず地場産業に携わるすべての人にとって、これからの時代を生き残っていくための示唆に富んでいます。地域全体の持続的な発展のために、地場産業に関わるすべての人におすすめの一冊です。