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タイトル |
ヴィルヘルム2世と第一次世界大戦(ヴィルヘルムニセイトダイイチジセカイタイセン) |
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ドイツ第二帝政の第三代皇帝ヴィルヘルム二世(= カイザー)は、世界に冠たるドイツの地位の確立を目ざし、世界政策を強引に推進しようとした。しかし、こと志に反して、ことごとく失敗に終わり、その政策は、第一次世界大戦を引きおこした元凶というイメージを彼に植え付けてしまった。世界大戦の敗北とドイツ帝国の崩壊にともない、彼はオランダへの亡命を余儀なくされたのである。本書は、ドイツ帝国の流れを追うことによって、ヴィルヘルム二世とその時代を描き、あわせて国際関係の観点からドイツの歴史的役割を捉え直した好著である。
目 次
はじめに…3
1 カイザーの世界政策
ビスマルクとカイザー…14
ドイツの統一とカイザー/伝統に反した両親/驕慢なカイザー/ビスマルクの外交/反ビスマルク派と社会主義者鎮圧法/ビスマルクの失脚
親政の開始…31
ロシア関係の大転換/露仏同盟の成立/カプリヴィとホルシュタイン/イギリスとの関係
極東と近東への野心…41
世界政策への転換/日清戦争とドイツ/三国干渉と中国進出/三B政策の推進
2 大海軍の建設
結集政策…54
「三叉戟のネプチューン」/ティルピッツのキャンペーン/帝国議会の動静/「ドイツの将来は海上にあり」/ドイツ帝国のジレンマ
イギリスとの同盟交渉…66
クリューガー電報事件/同盟交渉と義和団事変/交渉の頓挫
外交革命の完成…75
日露戦争とドイツ/カイザーの突飛な行動/デルカッセの失脚/ビヨルケの密約/「反独連合は成立した」/アルヘシラス会議と英露協商
3 包囲体制下のドイツ
極東政策…92
日露戦争と国際関係の変動/独米清三国協商にかけて/包囲体制打破の行きづまり
内政改革と国際的地位…100
内政上の懸案/デーリー〓テレグラフ事件/「個人支配」打破の好機/第一次大戦の萌芽/国際関係改善の努力
大戦前夜のドイツ…113
第二次モロッコ事件/第二帝政への批判の高まり/ホルデーン使節とバルカン情勢/バルカン戦争とバグダード鉄道
4 第一次大戦と帝政ドイツの崩壊
大戦の勃発…126
サライェヴォ事件と「白紙委任状」/オーストリア〓ハンガリーの宣戦布告/ドイツの参戦と列国/シュリーフェン計画/タンネンベルクとマルヌ/最初の総力戦
大戦下のドイツ外交…140
同盟諸国の動静/革命運動の〓動/日本との秘密折衝/潜水艦戦とアメリカ/「ビスマルク帝国」の終焉/アメリカの参戦
ドイツ帝国の敗北…156
「七月危機」とブレスト〓リトフスク条約/軍事独裁者ルーデンドルフの失脚/ドイツ革命とカイザーの退位
おわりに…163
ヨーロッパの地盤沈下/カイザーの亡命生活/カイザーの実像/ドイツの果たした役割
(付) 第一次世界大戦の研究史…174
あとがき…227
年 譜…232
さくいん…238