死刑制度の廃止が国際的な風潮となる中、いまだ日本は死刑存置の姿勢を貫いている。宗教界からも死刑制度の存置か廃止かを巡って声が上がってきた。本書は浄土真宗本願寺派前門主が、日本の刑事司法の問題点を整理し、浄土真宗仏教の視点から死刑のあり方を問う。
序論 仏教・浄土真宗と死刑制度 「殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ」
問題意識
死刑を廃止して困るのはだれでしょう?
第一章 死刑制度とその問題点
死刑賛成論と反対論
人権について
日本の死刑制度の歴史
死刑制度の問題点
死刑の根拠
第二章 日本の刑事司法の問題点
実態の隠蔽
執行責任者の曖昧さ
三審制
死刑基準の曖昧さ・情状酌量と本人の反省
死刑の基準
情状酌量とは
死刑囚の生活と刑の執行及び死後の後始末
刑務官の苦悩ーー死刑が殺人であることの現場
冤罪・誤判の可能性
さまざまな冤罪
代替策としての無期刑・終身刑
被害者支援
犯罪被害者に対する社会の連帯感
和解
償いとしての臓器提供
第三章 宗教倫理からみた死刑制度
日本の刑罰と宗教の歴史
教誨師
倫理道徳観からーー自己責任論
日本文化の特殊性
伝統的価値観の再評価ーー平安時代の死刑廃止
仏教
キリスト教
中国思想
付録 資料とその解釈
根拠となる法律
言葉の問題
死刑制度にかかわる内外の規範・条約
重大事件の概要
参考文献
おわりに