一日だって、忘れたこたぁねぇ。
鳴神座にかけられた四半世紀前の「呪い」……。
若き役者と裏方たちは「因縁の芝居」を成功させるため、命を懸けて稽古する。
芝居への熱き想いが心を揺さぶる好評シリーズ第3弾!
鳴神座一同は、狂言作者松鶴の言に驚愕した。二十五年前、一座が大失敗した演目「雪中白狐華宴」をやると宣ったのだ。父を殺された狐の兄弟が、雪原で仇討ちする話である。作者見習いで一座の力になりつつある狸八は、“雪衣”を務めることに。だが、凝った衣裳と道具が要り、緻密な立ち回りを求められる難儀な芝居だった。そんな折、主役ふたりの確執が明らかとなり……。