この世は一度。やりたいことは全てやろう
本音で生きてきた瀬戸内寂聴さんの
悔いなく、幸せに生きるための極意とは
不倫、家出、出家……自由を求めて生きてきた
瀬戸内寂聴さんが波瀾万丈の人生を振り返る
家族、老い、死について思うこと、女性性、仏教など
さまざまなテーマで綴る。読むだけで元気が出る人生論!
ものを書く煩悩だけが捨てきれず、得た文学賞も人より少く、
ただ書き通した執念とは何に支えられていたのだろう。
この世のしがらみや炉辺の幸せというものを我からすべて捨てきって、
アウトローの道をあえて選んできた私の命綱は文学だけであった。
出家も文学の完成のためにあえてした。
今、私は、一分後頓死しても悔いはない。
これを無上の幸福といわずに何と言おうか。
(本文より)
瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)
1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒。
1957年「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞受賞。61年『田村俊子』で田村俊子賞、63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。
73年、岩手県平泉の中尊寺で得度。法名寂聴(旧名・晴美)。京都嵯峨野に「寂庵」を構える。
92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨、2001年『場所』で野間文芸賞を受賞。
98年に『源氏物語』の現代語訳を完訳。2011年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。
2006年文化勲章を受章。著書多数。