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タイトル |
まだ温かい鍋を抱いておやすみ(マダアタタカイナベヲダイテオヤスミ) |
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今がどれだけキツくてもーー“おいしい”が、きっとあなたの力になる。ほろ苦く、心に染み入る極上の食べものがたり
「遠くへ行きませんか」「行くー! 行きましょうぞ!」
スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶碗蒸し、栗のポタージュスープ。季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ……(「ポタージュスープの海を越えて」)
彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。
病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。
ーー“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語。