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タイトル |
経営者のための経済学史(ケイエイシャノタメノケイザイガクシ) |
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著者は大学を卒業して、普通のサラリーマンになったのち、いくつかの会社の設立と経営に携わるようになる。取締役、常務、専務、社長、会長と役職が上がるにつれて、出資者を説得したり、弁護士に会ったり、税務申告をしたり、霞が関に赴いて説明をしたり……、普通のサラリーマンでは経験できない様々な経験をしていく中で、少しずつ、社会の理(ことわり)を理解し、「大学で習った経済学とは違った世界が見えるようになりました」という。経営者として経験してきた数多くの事象や事例に加えて、社会人になって最初のボーナスを手にした時に始めた株式投資の世界でも経験を積んできた。株式投資のために収集した情報や書物は1万冊以上にも及ぶという。
様々な知恵と経験をベースに、実際の経済、社会の動きを観察しながら、経営の実務に取り組んできた筆者だからこそ出来上がったのが本書である。「多少の本を読んでも、経済社会の全体語像をつかむことはなかなかできません。どの本も特定の思想を背景にした本だったり、自説の主張だったり、狭い専門分野の説明だったり、節穴から覗くようでした。しかし、たくさん読むうちに節穴が増えて、何となく全体像が見えてきました。
半世紀以上の読書と経験で分かったことをご披露して、皆様のお役に立ちたいと思います」と語る生粋の経営者である著者。自らが社内ベンチャーで立ち上げた企業を上場させるという素晴らしい実績も併せ持っている。
これだけでも、本書があくまでも実践の書であることが理解できるだろう。