13世紀のモンゴル帝国時代に大きく栄えた、内モンゴル草原の知られざる石窟寺院、アルジャイ石窟。その歴史と文化を歴史人類学的視点と文献学的視点の両面から解説する初めての本。モンゴルとチベット仏教の関係から説き起こし、アルジャイ石窟をめぐる政治的・宗教的勢力の興亡を描きつつ、石窟寺院の考古学的特徴と石窟内部の貴重な壁画や文字・写本などの文化財を紹介。チベット仏教の世界化へのモンゴル人の関わりと、草原の道、遊牧民の世界での仏教信仰の実態を解明する。
プロローグ モンゴル草原の仏教信仰
第一章 モンゴルとチベット仏教との関係
第二章 北魏とチンギス・ハーンの石窟
第三章 伝説と記憶のアルジャイ石窟寺院
第四章 流転の石窟寺院
第五章 大元王朝のウイグル文字モンゴル語題辞
第六章 草原の僧侶が聴く英雄叙事詩
第七章 シルクロード草原の道に栄えた石窟寺院
エピローグ 廃墟となった菩提寺
参考文献
巻末資料「聖救度佛母二十一種禮讃経」