パレスチナに生まれ 入獄と亡命を生きた大詩人
惨事と野蛮に抗して 詩は可能か
「世界の果てに辿り着いたとき、われらはどこへ行けばよいのか。/最後の空が終わったとき、鳥はどこで飛べばよいのか。」詩を喪失したとき、敗北した国はさらに敗北する。ホメロスに始まる西洋文学がつねに勝者の側から語られてきたとするならば、今こそ敗者の声を詩に結実させなければならない。本書はパレスチナの亡命詩人の、生涯を懸けた絶唱である。
道のなかにさらなる道
この大地にあって
また野蛮人がやって来る
死んでいるわたしが好き
山裾の上、海よりも高く、彼らは眠った
あそこに夜が
アデンに行った
敵が遠ざかると
アナット変幻
イムルウ・ル・カイスの、言葉によらない論争
異邦人に馬を
壁に描く
訳註
訳者解説 四方田犬彦