マナーやかげぐち等、他者といる際に用いる様々な技法。そのすばらしさと苦しみの両面を描く。「生きる道具」としての社会学への誘い。解説 三木那由他
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わたしたちが日々意識せずにおこなう「他者といる技法」。そのすばらしさや正しさだけでなく、苦しみや悪も含めて、できるかぎり透明に描くにはどうしたらよいか──。思いやりとかげぐち、親と子のコミュニケーション、「外国人」の語られ方、マナーを守ることといった様々な技法から浮かび上がるのは、〈承認と葛藤の体系としての社会〉と〈私〉との間の、複雑な相互関係だ。ときに危険で不気味な存在にもなる他者とともにいる、そうした社会と私自身を問いつづけるための、数々の道具を提供する書。
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ともにいることの苦しみと希望
「生きる道具」としての社会学へのいざない
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序 章 問いを始める地点への問い─ふたつの「社会学」
第1章 思いやりとかげぐちの体系としての社会─存在証明の形式社会学
第2章 「私」を破壊する「私」─R・D・レインをめぐる補論
第3章 外国人は「どのような人」なのか─異質性に対処する技法
第4章 リスペクタビリティの病─中間階級・きちんとすること・他者
第5章 非難の語彙、あるいは市民社会の境界─自己啓発セミナーにかんする雑誌記事の分析
第6章 理解の過少・理解の過剰─他者といる技法のために
あとがき
ちくま学芸文庫版あとがき
解説 理解できないあなたの隣にいるために(三木那由他)