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タイトル |
日本臨床栄養代謝学会 JSPEN栄養療法ポケットブック(ニホンリンショウエイヨウタイシャガッカイジャスペンエイヨウリョウホウポケットブック) |
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「栄養療法に関心を持ち始めた」メディカルスタッフ必携!病院,在宅,施設における日常的で基本的な栄養療法の実践手順や対応をチェックリストですぐ確認,根拠も学べる.コンパクトな1冊で栄養療法の基本のみならず疾患・病態別の栄養管理 ,多職種・チーム医療まで学ぶことができ,日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)既刊書籍との連携で無理なくステップアップできる.
【書評】
栄養の知識は,急性期から慢性期,在宅にいたるまでさまざまな場面で必要となります.栄養に関連した書籍は数多く出版されていますが,本が厚かったり,知りたかった情報が少ししか書かれていなかったりすることに,私自身何度か遭遇したことがあります.
『JSPEN 栄養療法ポケットブック』は栄養療法に関心をもち始めた「初学者」にオススメの本になっています.
本書のメリットは,栄養の基礎知識から在宅の現場で活用できる応用的な知識まで,さまざまな場面が網羅されていることです.「もう少し詳しく情報を知りたい」場合,本書は『JSPEN テキストブック』『静脈経腸栄養ガイドライン』とリンクしているので,同書籍を読んでいただくとより詳しい内容を学習することができます.また,大きさがコンパクトなため,職場のデスクに置いても幅を取らず,バッグに入れてもち運びが可能なことも便利な点です.NST ラウンドの際にもち運びしても邪魔にならないサイズになっています.
私が本書を読んで,オススメの部分は「3.応用編」です.応用編では,チーム医療としての栄養療法の実際や,在宅・施設での栄養療法について解説されています.とくに,在宅医療の現場では測定機器がなく,手探りで行っていることが多くあります.本編を読んでいただくことで,在宅での栄養療法実践のポイントや問題解決のきっかけになると思います.
私は本書を“読む”というよりも,自分の近くに置いて,頻回に目を通す“相棒”のような存在になってほしいと思っています.時間があるときに,ちょっと目を通してみると,自分の知らなかったことを学習できたり,わからないことをピンポイントで調べることができます.“最初から最後まで読み切る”というよりも,“自分に興味のあること”“現場で困っていること”などから読み進めていただくと,栄養の知識が身に付きやすくなると思います.
そんな心強い味方となる1 冊を,皆さんもそばに置いてみませんか?
がん看護28巻8号(2023年11-12月号)より転載
評者●市川 佳孝(群馬大学医学部附属病院看護部)