なぜおいしいの?
どうしてまずいの?
「おいしい」とはなんだろう?
人は味覚と嗅覚だけでなく触覚、聴覚、視覚、それに痛覚他も総動員して「風味」を感じている。
風味と脳/遺伝/化学技術/調理法……最新の研究でわかってきた不思議で魅力的な風味の世界。謎だらけの「風味」を進化生物学者が徹底解剖!
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◆序章より
実際のところ、風味は味覚や嗅覚にとどまらず、もっと多次元なものである。
五感のどれもがーー味覚、嗅覚、触覚、聴覚、そして視覚さえもーー風味に大きくかかわっている。
風味とは食物を口にしたときに感じるものの総体なのだ、と理解することがいちばんだろう。
そこから、驚くほどの発見が次々と生まれる。
最近まで、風味の科学を扱った本はずっと短く、内容もかぎられていた。
ところがここ数年のあいだに科学界はすばらしい飛躍を遂げ、
食物そのものから認知領域、食行動まで、細部の理解を深めてきた。
現在、新発見の相次ぐ、もっとも刺激的な研究分野のひとつが風味の科学だといっても、誇張でもなんでもない。
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