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タイトル |
木口木版のメディア史(コグチモクハンノメディアシ) |
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明治20年代から大正初期にかけて、繊細・稠密な線による独特な表現で一世を風靡した複製技術、木口木版。報道や出版・広告の発展に伴う〈世界〉のひろがりのなか、写真と見紛うほどのそのリアルな描写は、近代的なヴィジュアルイメージを伝えるものとして驚きをもって受け入れられ、雑誌や新聞附録、教科書、チラシや商品パッケージなど、様々なメディアを席巻した。
木口木版の日本への導入と展開に大きな役割を果たした合田清、そして彼の興した生巧館の営みを伝える諸資料から、これまで詳らかに知られることのなかった近代日本の視覚文化の一画期を描き出す。
新出の清刷をはじめ、400点以上の貴重図版を収載!
カラー口絵
序 言 石井香絵
用語解説
第1部 印刷史のなかの木口木版
明治期印刷における「木口木版」の位置 岩切信一郎
銅版・石版から活版印刷へ 森 登
合田清の仕事 丹尾安典
[コラム]明治の木口木版へー謎多き未開地の彷徨 熊田 司
[コラム]中川昇と写真銅版 森 登
第2部 生巧館の活動と展開
生巧館の活動と木口木版の受容ー国文学研究資料館所蔵品を中心に 石井香絵
生巧館の成立とその発展ー幕臣ネットワークと学校教科書 増野恵子
少年雑誌のなかの生巧館製木口木版の変遷 石井香絵
[コラム]生巧館と『国民之友』 谷川惠一
[コラム]生巧館による広告・パッケージの仕事ー国文学研究資料館所蔵品から 石井香絵
三木楽器の広告に見る生巧館 中村茉貴
[コラム]木口木版のサインに関する所見 -国文学研究資料館所蔵の生巧館資料群を中心に 中村茉貴
第3部 ヴィジュアルコミュニケーションと木口木版
明治中期の災害報道画像を考えるー磐梯山爆発と濃尾震災を中心に 増野恵子
世界のニュースと木口木版ー博文館雑誌『太陽』を中心に 井内美由起
木口木版による〈近代の戦争〉の図解ー日清戦争を中心に 向後恵里子
[コラム]生巧館と画像ジャーナリズム 増野恵子
[コラム]商業木口木版とレックス・スタディオ 今井圭介
[コラム]創作版画へー創作版画への道程、あるいは挿絵本への生き残り 岩切信一郎
あとがき 谷川ゆき
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