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タイトル |
中世古今和歌集注釈の世界(チュウセイコキンワカシュウチュウシャクノセカイ) |
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勅撰和歌集の第一として日本文化史上に大きな位置をなした『古今和歌集』。
成立から現代にいたるまで、さまざまな形で受容・咀嚼されてきた同集にまつわる解釈史は、中世日本において特筆すべき展開を見せたー。
鎌倉時代に始まると考えられる、秘注的な内容を持った注釈の流行である。
いわば荒唐無稽とも言うべき内容を持ったこれらの秘注的注釈は、鎌倉時代から室町時代前半にかけてかなりの権威を持って幅広く流布し、謡曲、連歌、物語など、その時代の文学や文化に大きな影響を与え続けた。
中世古今和歌集注釈書における重要伝本である『毘沙門堂本古今集注』、そして、中世古今集註釈をめぐる諸問題について、和歌研究をはじめ、文献学・物語・説話・国語学・思想史等の視角から読み解き、中世の思想的・文化的体系の根幹を立体的に描き出す。
カラー口絵
はじめに 山本登朗
第一部 毘沙門堂本古今集注をめぐる
複合体としての『毘沙門堂本古今集注』-その性格と成立 山本登朗
『毘沙門堂本古今集注』の書誌的考察 落合博志
国文学研究資料館蔵「毘沙門堂本古今集註」の書式ー墨合点から生成過程と性格を考える 舟見一哉
『毘沙門堂本古今集註』声点の文献学的検討 蔦清行
『毘沙門堂本古今集注』における韻学的なもの 岡崎真紀子
毘沙門堂本古今集注に現れた萬葉歌の性格 景井詳雅
『毘沙門堂本古今集注』における平安末期歌語注 濱中祐子
「毘沙門堂本古今集注」と為顕流灌頂資料ー古今注の神話世界 鈴木英之
毘沙門堂本古今集注と物語注釈 松本大
能と毘沙門堂本古今集注ー「女郎花」「姨捨」を中心に 大谷節子
第二部 中世古今集注をめぐる
古今集素伝懐中抄についてー釈義の並列という方法を中心に 浅田徹
冷泉流を標榜する古今集注ー『古今和歌集聞書〔冷泉流〕』をめぐって 舘野文昭
『古今和歌集』註釈と吉田神道ー『日本書紀抄』享受の一面と中世後期・近世前期学問史の一隅をめぐって 野上潤一
下照姫の歌ー中世の古今集序注から 橋本正俊
『五蔵曼荼羅和会釈』と和歌注釈ー『玉伝深秘巻』『玉伝集和歌最頂』『深秘九章』の説く和歌観の淵源を探る 海野圭介
第三部 毘沙門堂本古今集注翻刻
凡例
真名序 /仮名序 /第二巻 /第三巻 /第四巻 /第五巻 /第六巻
あとがき 小山順子
執筆者一覧
奥付