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タイトル |
フェイク・スペクトラム(フェイクスペクトラム) |
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嘘、偽り、騙し、騙り…
否定的な響きをもつこれらの言葉・現象を、私たちは真摯に考えてきたことがあっただろうか?
「嘘も方便」という表現からも捉えられるように、社会におけるこれらの行為は多義的な面を持ち合わせている。
そして、言葉のいとなみが広がる文学の世界には、「フェイクする存在」としての人間が活写されている。
中世から現代にいたる、洋の東西を越えた11の事例を考察することにより、「フェイク」という問題の多面性と本質を浮かび上がらせる画期的な書!
はじめに 納富信留
序章 「フェイク」とは何か、「フェイク」をどう論じるか? 納富信留
第1部 現代とは異なるフェイク
第1章 信憑性の戦略─『ジョン・マンデヴィルの書』をめぐって 松田隆美
第2章 書簡は語/騙るー初期近代イギリスのジャーナリズムとフィクションの誕生 井出新
第3章 近代的作者の誕生ーセルバンテスと『贋作ドン・キホーテ』 瀧本佳容子
第4章 公私のせめぎ合いと隠された主題ーダニエル・デフォー『ペスト』をめぐって 高畑悠介
第2部 編集にまつわるフェイク
第5章 正典・外典・偽典─『聖書』をめぐって 伊藤博明
第6章 虚像としての編集─「大島本源氏物語」をめぐって 佐々木孝浩
第7章 「体系哲学者」という虚像のあとで─ヘーゲル講義録をめぐって 下田和宣
第8章 フェイクの悲劇的な帰結─フリードリヒ・ニーチェの『権力への意志』をめぐって トーマス・ペーカー
第3部 現代に生きるフェイク
第9章 フェイクな恋のフェイクな手紙ーフランツ・カフカの『判決』と『変身』をめぐって 明星聖子
第10章 共有される疑似現実を生きるということ─トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』をめぐって 中谷崇
第11章 捏造されたホロコースト回想録─ビンヤミン・ヴィルコミルスキーの『断片』をめぐって 北島玲子
あとがき 明星聖子
執筆者紹介