紫式部はなぜ『源氏物語』を書いたのか。摂関期全盛の後宮を生き抜き、物語を通して、人生と社会の意味を問いかけたのが『源氏物語』である。
その人と生涯を、清少納言や藤原道長、2人の夫など、紫式部をめぐる人々との関係を丹念にたどりながら明らかにする。
紫式部の幼名・本名、恋愛と結婚、宮廷生活、職階、没年等について、先行研究を網羅的に検証しながら16の新見解を提示した本格評伝。
和歌・漢文日記等に読みやすい現代語訳、専門用語に注記を付した。
はじめに
序章 紫式部前史ー時代背景
第一章 紫式部の「戸籍」
第二章 紫式部の家系
第三章 父・藤原為時の生涯
第四章 生い立ち1-幼名・通称「もも」説の提唱
第五章 生い立ち2-物語愛好と学藝史
第六章 青春時代 女友達をめぐる交友ーめぐり逢ひて 見しやそれとも
第七章 紀時文との結婚まで
第八章 紀時文との結婚
第九章 越前下向まで
第十章 越前の藤原香子
第十一章 帰洛から再婚まで
第十二章 藤原宣孝との結婚生活
第十三章 宣孝の死と寂寥の日々
[コラム]光源氏物語前史
第十四章 物語を書く女1-倫子家女房兼業作家説
第十五章 寛弘三年十二月二十九日ー命婦としての初出仕から掌侍への昇任まで
第十六章 後宮女房・藤式部1-日記の存在について
第十七章 後宮女房・藤式部2-上臈中宮女房として
第十八章 物語を書く女2-作家・紫式部の誕生
[コラム]紫式部の地理的視角 宇治・槇の尾山編
[コラム]紫式部の地理的視角 愛宕山編
第十九章 藤原実資から見た「女房」紫式部
[コラム]『紫式部集』覚書 南波浩と定家本『紫式部集』、三谷邦明の接点
[コラム]現存『紫式部日記』はどのように成立したか
第二十章 紫式部の死 終章
[コラム]角田文衛、鍋島直康両先生追想
[コラム]三島由紀夫の『源氏物語』、そして『豊饒の海』
[コラム]『源氏の物語』を伝えた人々
初出一覧
あとがき
附録
『紫式部伝』を読むための人物誌
女房一覧
紫式部年表
平安京図