恋愛とその破局、愛する人の不在、家族との訣別、出産と生誕、怪我による身体変容、アルツハイマー病による人格変容……。存在の脆弱さ、壊れやすさに対する繊細な配慮が、常識的な期待や希望の言説に抗して、いかに人間存在が脆く、容易に破局から回復しえないのかを見極める。それでもなお、挫折を「肯定する」のでもなく、別離から「立ち直る」のでもなく、私たちはいかにして生き延びることができるか。
序 章 人生はいくつもの別れでできている
第1章 自分自身に、そして他者に忠実であり続けることの不可能性
第2章 愛する人との別れ
第3章 自分自身になる
第4章 散逸の喜び
第5章 事故に遭った人
第6章 誕生と別れ
第7章 家族と別れる
第8章 消失
第9章 断絶の性
第10章 夜を渡る
第11章 契約の破綻
訳者あとがき
参考文献