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タイトル |
中井久夫集 8--統合失調症とトラウマ 2002-2004(ナカイヒサオシュウトウゴウシッチョウショウトトラウマ) |
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私たち医療関係者には、「統合失調症」患者の知情意の「再統合」を妨げる要因を見定めて、できるだけそれを取り除いていくことが大きな課題となってくる。もっとも、神田橋條治氏の「精神を無理に統一しようとして破綻する」という側面をも忘れないようにしたい。強迫的に統合を患者に強いる精神科医や周辺の人びとが出てきそうである。患者の中にもむりな「精神統一」を追求しようとする人が出てくる恐れがある。精神の統合は、もっとしなやかで、矛盾を包み、「こころの放牧」をも許すものであると私は思う。
(「「統合失調症」についての個人的コメント」2002)
戦争へと「踏み越える」際の「引き返し不能点」は政治的よりも心理的に決定されると私は思う。戦争は避けられないという無力感が世を覆うようになることである。この独特の無力感を引き起こすことこそ、戦争を起こしたい勢力がもっとも重視し努力するものである。それは「心理的引き返し不能点」を手前に引き寄せる試みである。その手段は多様戦争へと「踏み越える」際の「引き返し不能点」は政治的よりも心理的に決定されると私は思う。戦争は避けられないという無力感が世を覆うようになることである。この独特の無力感を引き起こすことこそ、戦争を起こしたい勢力がもっとも重視し努力するものである。それは「心理的引き返し不能点」を手前に引き寄せる試みである。その手段は多様で持続的なものでなければならない。宣伝だけでなく、動員をはじめ、種々のしめつけや言論統制である。
(「「踏み越え」について」2003)
「精神医学および犯罪学から見た戦争と平和」「身体の多重性」「アイデンティティと生き甲斐」など全28編。
統合失調症とトラウマ
統合失調症の経過と看護
1990年以後の世界
「統合失調症」についての個人的コメント
今にして戦争と平和
外傷神経症の発生とその治療の試み
甲南裏山物語
日本語の対話性
平成14年を送る
図書館に馴染まざるの記
ロナルド・D・レイン『ひき裂かれた自己』
「踏み越え」について
身体の多重性
イラク戦争開戦に思う
被占領期に洋書を取り寄せたこと
母子の時間、父子の時間
日本の家族ーーその近代と前近代
精神医学および犯罪学から見た戦争と平和
イラク戦争終了に思う
河音能平君の少年時代
「その地」を訪れざるの記
石川九楊『日本書史』を読む
村澤貞夫を送るーー2004年1月7日
生活空間と精神健康
中東で繰り返される日中戦争
アイデンティティと生き甲斐
翻訳って何?
2004年の歳末に思う
解説8 最相葉月
掲載文・書誌一覧