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タイトル |
戦争ストレスと神経症 新装版(センソウストレストシンケイショウ) |
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〈戦争神経症の歴史は、精神科医と一般公衆との移り気に翻弄されてきた歴史である。第一次大戦直後の非常な関心はまもなく腰砕けになってしまった。平和時の神経症と違って、戦争神経症の研究は断続的で、それも気のない研究が多い。研究はバラバラに行われ、そのために手ひどい混乱が起こっている。…戦争のストレスによる症候群は一つしかない。…たしかに戦時特有の障害も多く、それは軍事精神医学の対象とするのが適当であるが、戦争神経症はそうではない。あらゆる社会のあらゆる人間に共通な性格と神経症とが戦争という強烈なストレス下に、非常に多くのヴァリエーションを生み出す。このことは臨床上も学問的にも重要である。…本書は戦争に特有の一症候群の研究を行おうとする。それは外傷神経症、シェルショック、戦闘消耗と同一のものである。すべて、戦争のストレスに続発する共通の後天的障害である〉
J・ハーマンが『心的外傷と回復』で何度も参照するなど、PTSD概念の礎石を築いた本書(初版1941、第二版1947)は、戦争神経症への専門家の座右の書であるばかりか、PTSDとは何か、さらには戦争の惨禍が何をもたらすのかを考えるための、類例のない書である。第一次世界大戦を主に扱いながら、現在のイラク戦争や自衛隊派遣など、危急の問題にも対応できる基本文献である。著者の「戦争の外傷神経症」(1959)を付録とし、併せて中井久夫による「訳語について」等を巻末に付した。
第2版への序
初版への序
第1章 はじめに
第2章 兵士と兵役
戦争のもたらすストレス
戦争神経症」特有の問題とは
第3章 戦場精神医学
兵士の戦闘環境
戦場精神医学における問題点
第4章 急性期
急性神経症の構造
結論
第5章 急性期の治療
クリアリング・ステーション(後送待機場)
エヴァキュエーション・ホスピタル(後送病院)
リア・エシュロン・ホスピタル(後方梯団病院)
第6章 慢性期の症状学
心気症
統合失調症
転移神経症
防衛儀式とチック
自律神経障害ーー心身症
感覚運動障害
急性衝撃精神病とてんかん症状群
要約
第7章 症状の分析
心的外傷(トラウマ)とは何か
不安と外傷状況
適応の神経症的変化
外傷神経症の必発現象
退行か解体か
外傷神経症とてんかん
まとめと結論
第8章 効果的な自我の発達
適応とは何か
適応パターンの発達
マステリーの発達ーー機能の自動化
内的環境とその活動における役割
効果的な自我と失敗反応
要約と結論
第9章 精神力動
「行動システム」の構造と関係
抑止の帰結
疾病学的観察ーー身体神経症
要約と結論
第10章 慢性段階の治療
技法の選択
技法のさらなるポイント
第11章 経過、予後、鑑別診断
経過
予後
鑑別診断
外傷神経症のロールシャッハ・テスト
第12章 法的問題点
付録
訳語について
軍事用語と軍隊システム若干
訳者あとがき
文献