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本書は、紀元前一万年以降の、文化を超えて長期にわたり展開してきた家族史を読み解く書。家族を物語の中心に据えたときに、世界史はどのように見えるのか。時代的・空間的な多様性に焦点を当て、出産・性別役割分業・配偶者の選択など、時代や地域ごとの家族生活を描き出すとともに、それぞれの文化が家族生活を営むために独自の方法をいかにして見出してきたかを探求する。
《原著》Mary Jo Maynes, Ann Waltner, The Family :A World History
序 章 ディープ・ヒストリーとしての家族史
二つの視点
家族の定義
本書の時間的・方法論的枠組み
第1章 家庭生活と人類の起源ーー紀元前5000年まで
「狩人たる男性」理解の再検討
農業および定住生活への移行
家族生活の組織化
第2章 神の誕生ーー宗教登場後の家族(西暦1000年まで)
先祖崇拝と死後の世界
起源神話の二つの始まり方ーー家族の物語と単身男性の物語
「適切な」結婚のための掟と家父長的慣習
宗教と家族の対立
第3章 支配者家族ーー政治の黎明期における家族のつながり(紀元前約3000年〜1450年)
古代君主政⑴ーー典型的な男性優位の世襲制
古代君主政⑵ーー女性が権利を持つ社会
古代君主政⑶ーーゆるやかな世襲の論理
古代君主政⑷ーーゆるやかな父系社会
民主政下の強固な父系社会
少数のエリート家族による寡頭政
第4章 近世の家族ーー1400〜1750年
旧世界と新世界の遭遇
征服の手段としての家族政策
宗教改革および対抗宗教改革と結婚
新たな分類項目「人種」の登場
第5章 グローバル市場における家族ーー1600〜1850年
家庭生活へのインパクト
同族中心主義の商業ネットワーク
混合婚による商人コミュニティ
プランテーションにおける奴隷
ヨーロッパの農村コミュニティ
第6章 革命期の家族ーー1750〜1920年
産業革命と社会階級
フランス革命とジェンダー
中国革命とナショナリズム
第7章 生と死の力ーー国家による人口管理政策時代の家族(1880年〜現在)
「バイオポリティクス」の始まり
アフリカにおける植民地支配と人種
「国民」をめぐる強制的な人口調整
冷戦下における理想の家族と子育て支援
人口統制と再生産
植民地体制からの脱却
終 章 家族の未来
家族の絆
同性結婚
代理出産
国際養子縁組
リプロダクティブ・ヘルス
高齢者介護
参考文献
訳者あとがき
索 引