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タイトル |
証言のポリティクス(ショウゲンノポリティクス) |
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2000年以降の著述を集成した批評集。さらに深められた『ショアー』論の新展開にはじまり、女性国際戦犯法廷や「慰安婦」問題をめぐる介入的発言、そして、近年、焦眉の懸案事項となりつつある政治の諸問題(天皇制、憲法、国旗・国歌、靖国、日朝関係……)に対する原論的批評まで、哲学的思索に裏打ちされた《他者への応答》が、ポリティクスの火中で、その真価を見せる。声、ジェンダー、証言、記憶、国家、ナショナリティ、歴史、正義、他者……。哲学と政治の交叉するところで、それぞれの案件において、何が真に問題となっているのか──。なし崩し的に「戦時」への針路を辿る現今の政治情勢に抗すべく、ときに論争に応じ、ときに法廷に立ち、状況に積極的に介入した「哲学者・高橋哲哉」の、犀利かつ粘り強い思考と運動の軌跡。哲学の前線──たたかう言葉たちは、ここにある。
目次
1
エウリュディケーの声ーー『ショアー』と性的差異の痕跡
1 ジェノサイド(genocide)か、ジノサイド(gynocide)か?
2 絶滅の蜃気楼ーーファタ・モルガナ
3 オルフェウスの政治
4 死者たちの未来、幽霊の未来
トラウマと歴史ーーアブラハム・ボンバの沈黙について
1 はじめに
2 行動化か、徹底操作か
3 抵抗、転移、反復強迫
4 プロセスとしての徹底操作
5 「全面的支配」の幻想
記憶の回帰と証言の時代ーーフランスの〈戦争の記憶〉についてのノート
1 序
2 ヴィシー・シンドローム
3 ダブル・スタンダード
4 アルジェリア・シンドロームへ?
II
「人道に対する罪」をめぐる「法ー外」な二つの試み
ーー南アフリカ「真実和解委員会」と「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」をめぐって
1 はじめに
2 「法」と「赦し」の狭間でーー真実和解委員会
3 「不処罰」の文化への挑戦ーー女性国際戦犯法廷
4 証言の可能性と不可能性
何が直前に消されたかーーNHK「問われる戦時性暴力」改変を考える
1 問題化の経緯
2 「修正台本版」の何が消されたか
3 メディアが問われている
「歴史の他者」が「正義」