私たちはなぜ「洗う」のか。洗うという行為、清潔という感覚を古代から現代にいたるまでさまざまな事例を取り上げ、文献・絵画・民俗資料から分析。また、儀礼・信仰の世界での「祓う」「清める」といった行為の意味を追求し、精神的な視野も交えて、日本人にとって「きれい」とは何かを考える。現代社会の清潔志向の根源を、歴史と分析科学から探る。
はしがき…西谷 大/1「洗う」こと(「洗う」言葉ー古代文献と正倉院文書の分析から…桑原祐子/江戸勤番武士の「清潔と洗浄」-埃の都・儀礼の都 江戸…岩淵令治/入浴習俗の実態と特徴ー近代の農村「奈良県風俗志」の分析から…関沢まゆみ/帝国日本の清潔と清潔感…樋浦郷子/むし歯予防と歯磨き習慣の形成と普及…福田直子/インドネシアにおいて「洗う」ということ…金子正徳/コラム1 日本の手洗いとその啓発の歴史…小島みゆき・徳田 一/コラム2 身体洗浄料の科学…松尾恵子)/2 「洗う」意味(砂を盛ること・砂を蒔くことー江戸時代の「馳走」(おもてなし)との関わりで…久留島 浩/歴史と民俗にみる「禊ぎ・祓へ・清め」…新谷尚紀/コラム1 洗い髪の図像学…大久保純一/コラム2 人は何のために何を洗うのか?-生物学的視点から…武馬吉則/コラム3 からだの洗浄・こころの洗浄…門地里絵・原水聡史・中村純二)/あとがき…後藤 真