母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。
海辺の町の鄙びた商店街の「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。
意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。
がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。
「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人でーー。
名手・森沢明夫による『キッチン風見鶏』『おいしくて泣くとき』に続く〈最高においしい小説〉シリーズ第三作目は、海辺の町の知る人ぞ知る寿司店が舞台。
厳選されたネタと職人の丁寧な仕事による極上の寿司をご用意して、常連客も訳アリ客も、心を込めておもてなしします!