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タイトル |
ミステリな建築 建築なミステリ(ミステリナケンチクケンチクナミステリ) |
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名探偵は「事件」の謎を解き明かし、
小説家は現場となった「建築」の謎を解く。
『グリーン家殺人事件』(ヴァン・ダイン)が書かれてから九十六年、『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)から九十年、『虚無への供物』(中井英夫)から六十年。いまでも謎解きのミステリは世界中で書かれ続けています。
ミステリの核となるトリックは、事件の舞台となった建築にこそ隠されています。
また、時代が移り変わる中で、春風のように颯爽と登場した近代建築の中にも多くの思念と謎が秘められています。
この本では、前半に「鹿鳴館」「中銀カプセルタワービル」「水晶宮」などの近代建築から建築に潜むミステリを読み、後半では『Yの悲劇』『ねじれた家』『悪魔が来りて笛を吹く』などの名作ミステリから近代建築を論じます。
本格ミステリ「建築探偵桜井京介の事件簿」シリーズなどで有名な、建築を愛する小説家・篠田真由美さんが紐解きます。
建築に潜むミステリを、ミステリの鍵となる建築を解き明かす一冊。
章構成
第一部 建築のミステリを読む
CASE1 築地ホテル館のレセプションはどこにあったか 日本最初の西洋式ホテルの謎
CASE2 鹿鳴館は若きコンドルの拙劣な失敗作だったのか 敢えて定説に異を唱える試み
CASE3 明治の三国から山形へ、ひとすじの糸はつながったか
オランダ人技師エッシェルと土木県令
CASE4 一八五一年ロンドン、ハイドパークに出現したものとは 百年早く生まれた大衆の時代の宮殿
CASE5 建築スタイルはなぜ混ざる 町屋から宮殿まで、素敵な折衷の世界
CASE6 中銀カプセルタワービルは理想の密室現場となり得たか? ミステリ・マニアの夢と現実
第二部 ミステリを建築で読む
CASE1 山田風太郎作『明治断頭台』より「怪談築地ホテル館」
CASE2 横溝正史作『 悪魔が来りて笛を吹く』
CASE3 篠田真由美作『 翡翠の城』
CASE4 ディクスン・カー作『髑髏城』
CASE5 ヴァン・ダイン作『グリーン家殺人事件』
CASE6 エラリー・クイーン作『Yの悲劇』
CASE7 アガサ・クリスティ作『ねじれた家』
CASE8 小栗虫太郎作『 黒死館殺人事件』
CASE9 中井英夫作『 虚無への供物』
※本書は、[建築知識]2022年8月号から2023 年11月号にかけて連載した内容を大幅に加筆修正し、まとめたものです。